★ 隼人が『タイプの美人女性:水沢夫人』に出逢って……
  食事後、中佐室に戻ってきてからの葉月との会話です。
  プロローグ3話最後からの雰囲気で、続きをどうぞ! 霧生

 

〜TOKIO プロローグ3話 カット小話 番外編〜

 

 食事から帰って、いつも通りに業務を開始すると……

「なに? 嬉そうじゃない、隼人さん……また、誰かに声かけられたの?」

そんな事は異様に勘が良いウサギに隼人は『ドッキリ』!

確かに、ここの所、声をかけられる機会が増えて、

葉月に報告しても差し支えない事は隠したことはないのだが……。

 

 なんだか、『タイプの女性』

しかも、気兼ねない出逢いなのに……葉月に対して急に後ろめたさが。

(いや? 待てよ? なんで、俺がこんな気持ちにならないといけないんだよ!?)

そう、葉月にはまだ心の奥底、諦めきれない男がいるのは

お互い『公認』となっている今日この頃。

隼人は、そう思って気を改める。

改めた上に、意地悪なことを言い出していた。

いや、意地悪と葉月は思わないと思うが……

 

 「葉月はさぁ……『タイプの男性』ってどんな男なのかな?」

これが『諦められない男』とやらを探る質問とまでは葉月には悟られなかったようだ。

だから、葉月はすぐに真に受けて……ジッと天井を見つめて考えていたのだ。

(今! その男……思い浮かべているだろ!?)

隼人は冷静な顔で、キーボードを打ちつつ……眼鏡の奥から恋人の様子を伺う。

「康夫も言っていなかったかしら? 隼人さんは私のタイプだから紹介したって?」

「……ああ。そんなのこじつけだろ?」

いや……それも確かなのだろう?

ジョイが言っていたように……

『小池の兄さんは、結構、お嬢のタイプ』

そういう落ち着いた眼鏡のインテリ男が結構タイプだと……

つまりは『谷村真兄様タイプ』と言ったところらしい……。

隼人もどちらかというと、海兵員のように『熱血まっしぐら、動く男』ではなくて

ジッと細かいことをやり遂げる地味めな作業派であるから……。

(そうじゃなくて……)

いや……その葉月の『必要な人』という男が

葉月のタイプでもないのに『惹きつけて離さない』としているのなら……

(それ……タイプじゃないのに諦められないって『愛している』って事じゃないのか?)

そう思えてきたのだが……

「そうねぇ……タイプと言って、隼人さんじゃないとしたら……

『山中のお兄さん』タイプかしら?」

意外とスラッと軽い感じで葉月の口から出てきたので隼人は驚いて顔を上げた。

「山中の兄さん!?」

「うん。そう! ほら……身体ががっしりしていて結構強そう♪」

「ああ……御園将軍みたいな感じ? でも、お父さんは優雅でダンディだけど

山中の兄さんはどちらかというと……体育会系って感じだけどなぁ?」

「……うーん。そう言うワケじゃなくて……あの『無骨』な男臭い所が結構好き

あの無精ヒゲがいいわよね♪ あ。だからって隼人さんは似合わないからしないでね!」

『好き』ときて、隼人はまたおののいた。

確かに葉月は山中にはそれは警戒無く甘えているし、頼っていてる方だ。

だから、兄さんも男らしい物だからついつい、葉月には甘くなる傾向があるようなのだ。

「無骨ね?」

(そうゆう、男なのかな??)

全然想像がつかない。

「でも……山中のお兄さんが100パーセントじゃなくて……

あんな感じで中身が、細川中将のような、静かでもビシッと威厳があると素敵ね。

隼人さんのようなタイプじゃなければ、どんな男性が良いかと言われるとそんな感じ?」

「…………」

山中を思い浮かべて、細川のような威厳を重ねてみたが……しっくりこない。

そんな男、基地内にいなければ、今までそんな感じの男は隼人の記憶からも出てこない。

「遠野大佐は、ちょっとそう言う所があったけど、達也と一緒で結構、表面的から『熱血』だったから

『静か』って方では無かったわね」

葉月は近頃、そんな事は平気で隼人に言うようになってきていた。

『過去の片鱗』とでも言うのだろうか?

あまり表面から漂わそうとしなかった『これが私が考えている事』というのを

素直に口にするようになっていた。

と……いうのも。

これも『私生活』に関わってくるが……

葉月と過ごす時間の中で『密着』している時間が多くなったからだ。

例えば、大きな声では言えないが……『ベットでの語らい』等々……。

警戒を解いた葉月は、もっと言うと『姉の話』など、

幼い頃の話しも気軽に口にしてくれるようになったからだろうか?

 

 「そうなんだ……イマイチ、想像しがたいな」

自分で『意地悪な引っかけ』でカマかけて置いて、

なんだか変な重石がかかってきた返り討ちにあった気分にさせられた。

その上……

「私は隼人さんの『タイプ』……すぐに解るわよ♪」

ニヤリ……と、いつもの生意気顔が帰ってきたのだ。

しかも、その男姿でやられると今まで以上の『生意気』に感じてしまう。

隼人はまたまた『ドッキリ』! おののいた。

「俺のタイプ!?」

「そうそう……私が知っている女性隊員で『ピッタリ』の人がいるわよ」

「誰? 俺が知っている人??」

「ふふ……顔は見たことないかもね?」

葉月の益々、生意気な眼差しに隼人はおののく。

「でも、いつもお話はしているんじゃないの?」

それを聞いて隼人は『ピン!』と来てしまった!

ピン……と来て……

(恐るべし……じゃじゃ馬!)と、また驚いたのだ。

葉月は『水沢夫人』の事を言っていると解った。

しかも、それが『隼人のタイプ』と既に解っているから驚いた。

「ロイ兄様の所のお姉さま……確か……隼人さんと同い年ぐらいだったかしら?」

「もしかして……水沢さんの事?」

「あー! やっぱりね! もう、会ったことあるの?」

「うん、まぁ。最近ね……『いつも声だけですね〜』って事で彼女が挨拶してくれた」

そうしてぼやかそうとしたのに……

「それで、嬉そうな顔で帰ってきたの? 今日、初めて会ったのね?」

そんな事は鋭く言い当てられて……もう、だから……『降参』したのだ。

「まぁね」……と、それだけしか言えなかった。

 

 でも、葉月は取り立てて嫉妬を現すこともなく……

「素敵なお姉さまだったでしょ♪」

心から慕っているのか明るい笑顔でそう言うのだ。

だから……生意気にやられても、憎めない。

それに隼人もそんな好感を抱いたから、水沢夫人と出逢えたことが嬉しかったのだから。

「ああ。頭の良い女性だね……葉月の事も心配していたよ」

「そう……そう言えば、任務から帰ってきてからもまだ、顔会わせていなかったわ」

ロイと距離を作っている時期だからだろう……。

秘書室も今は遠ざけているといった感じだった。

 

 でも、葉月はすぐに明るい顔に戻った。

「ご主人の『水沢少佐』も素敵なお兄様よ! リッキーみたいに素敵な人!」

「へぇ……流石、連隊長秘書室。品格が良い男性なんだろうね?」

「うん、そうそう! だから、マドンナだった『佐伯姉様』の心射止めて当然なのよね!

基地中の日本人男性が狙っていたみたいだけど! 私は絶対水沢少佐とお似合いだと思っているの!」

葉月は嬉そうに力説するのだ。

隼人も思わず……ニッコリ……。

(お前が上手くまとめたところ……見てみたかったな……)

そう、思ってしまったのだ。

 

 「やっぱり……『マドンナ』だったか……俺、見る目あるかも?」

「なに? 見る目って??」

「バッチリ、俺のタイプだったから……」

「ふーん」

やっと葉月がしらけた視線にて……納得いかないような顔をしたのだ。

「でも、水沢姉様は……あの大尉とは全然違うわよ」

シラっと思わぬ一言が出てきて、隼人はまたもや『ドッキリ!』

『あの大尉』が『ミツコ』の事だと解ったからだ。

似た黒髪美人タイプでも、中身は全然違う。

『どこが見る目あるのよ?』と……いった感じだ。

「お前、時々すっごく、グッサリする事言わない!? 

そういうとお前を選んだ事はどうなるか説明してみろよ?」

「当たっているじゃない? じゃじゃ馬に苦労ばっかり掛けさせられて、しかも男っぽいと来てるわよ!」

葉月はまたもや何かを拒もうとしていて、シラっと書類に向かったのだ。

(この! 生意気ウサギ!!)

「お前も水沢さん、見習えよ」

「うるさいわね……! 化粧して、ヒール履いて大人になれって事!?」

「……じゃ、なくて……」

いや、水沢夫人に『心のケアからしてあげて』と言われていたのに

葉月にキツイ一言を言われたが為につい……違う女性を引き合いに出して

『女らしくしろよ!』と、言ってしまった事……

『はぁ! しまった……いうべき事じゃなかった』と、隼人は顔をしかめた。

葉月は『ツン……』として、また頑なに『女姿』を拒もうとしていた。

(本当に……もう! なんで、俺がこんなに言い負かされるのか??)

 

 隼人の『葉月嬢育成プラン』は、前途多難のようである……?

                              =終=

 

★……スミマセン。。 これ付け加えたら異様に長くなったので『カット』しました(泣)
 その後、いづれかの場面に挿入しようか? とか 『4話 私生活』の前に持っていこうとしましたが
 『私生活』が褪せる気がして、『旬』を逃してしまいました。。(旬って!? ^^;)
 今後の参考にどうぞ?