〜 ウィング・ラン! ●あとがき● 〜

 

 今年の五月の文庫館三周年記念……という事で、記念企画にて四月に投票を募りました。

昨年は、『お花見イベント』と『隼人フランス時代』が競って競って、一票か二票差で

『お花見イベント』が制して『桜、咲く頃……』を執筆させていただきました。

 

この『桜、咲く頃……』も、なんだかんだと遅れて、八月に完結したのを覚えています^^;

今年も、五月の開設記念日に無事に連載は出来たのですが……。

TOKIO編もかなりの連載期間と相成りまして、こちらの完結にかなりの力を注いだ事、

そして頭の中がフロリダ一色だった事。

仕事を退職したにもかかわらず、結局、こちらの『ウィング・ラン!』に手を着ける余裕がなかった事。

 

ここで改めて……リクエストを下さいました読者様にお詫びを申しあげます。

こんなに連載が不規則で、さらに半年以上も完結できなかった事を。

 

申し訳、ありませんでしたm(__)m

 

昨年の、リクエストでも僅差で次点となった『隼人フランス時代』

こちらの話を『書く』と決めたからには、原稿で曖昧にしていた『隼人の過去』を

はっきりしようと『設定の組み直し』と『既に公開している情報』を拾うこと。

これに結構な時間もかかりました。

自分が書いた話なので、だいたいは『○○編○話で、隼人はこう言っていた』と覚えているのですが──。

特に祐介の事は、既に亡くなっている人だった為、彼の『言葉』というのは

葉月や隼人、そして康夫と言った、残された後輩から出た言葉ばかり。

それを拾うのに……『あの辺の話だったはず!』とかですね^^;

それで間が空いたりして(言い訳ですね〜)

 

今回は、初めて祐介が祐介として言葉を発するお話だったのですが

私が原稿で書いている『イメージ』を上手くフランスで出せるかも初めての試みでした。

葉月と祐介の『出逢いと中隊経営と恋』の話は原稿では既に書いていたのですが……。

 

そして書きたくないと思いつつの『隼人とミツコの同棲生活』

これは祐介と隼人が同時にいる『時期』を書くならば、どうしても不可欠なものでした。

原稿でも、彼女は祐介同様、『過去の人』として出てくるので、

こちらも彼女の口から発する言葉というものを『恋人』として、こんなにたくさん書くことも初めて。

元々、女性として『男性に押したい気持ち』、そして男性がちょっと『引きたくなる女心』のすれ違い。

これを『魔女と王子』と置き換えて、かなりの大袈裟さで表現しています。

しかも、ミツコがかなりの悪者で^^;

本当は……彼女はただ隼人を愛していて、真っ直ぐで一途なだけなのですけど。

たぶん……女性がそこで持っている『女性らしい願望』を、そのままストレートに突き進むと

『こういう女性になるのではないのかなぁ?』という私の経験も含めて(ちこっとだけね)

『徹底的な願望女性』として現しています。

それをとことん受け入れた隼人。

こんな男性もいないとは思いますが……とことんストレートに女性が気持ちを満たした場合

いくら隼人でも拒否する……という流れで持っていきたかったのですが……。

ちょっと、辛かったです。

書いていて、ミツコはそんなに悪い女性だろうか?とも思えてきたり。

隼人がもっとしっかり叱れば、いいじゃないか? と思ってイライラしたり(笑)

結局の所、本編でもかなりの険悪な仲で別れた二人になっていますので

バランス悪いすれ違いで、どうやって別れさせるか持って行くまで……辛かったです。

が──

『こうなったら、ミツコにはとことん欲望のまま、喋ってもらおう』と、お構いなしに

ドドドン!という感じでしたね。彼女のセリフの羅列^^;

 

そして二十代、後半の隼人。

 

ミツコと別れた後の、隼人の『可愛い年下の恋人』

こちらも原稿ではエピソード程度で、今回の書き下ろしで彼女像を明確にする事に。

そしてニナも……『隼人の初めての女性』という設定は原稿で既にあり。

そのエピソードも、すでに決まっていたのですが、

ニナも初めて……エピソードではなくて、彼女が言葉を発するという事になって

本当に、自分が散りばめたエピソードを拾いつつ、実像を明確にしつつの制作でした。

 

結局、こちらのお話は、私にとっても『曖昧だった隼人の過去』を明確にして行く上で

それが創作できて、とても楽しかったです♪

 

『マルセイユの休暇』で、隼人が達也にお遣いを頼んだ時に渡したフィリップへのメモ。

なぜか、一番下に『澤村隼人』という漢字のサイン入り。

これが、今回、セシルの『チケット』から来ていること。

そして──小笠原に転属してきた隼人が、髪をさっぱり切っていた事。

これもすべて……繋げさせていただきました(笑)

気付いて下さった方がおりまして……嬉しかったです。

あと、王子とか魔女とか王様とか姫様とかお妃様とか……ちょっと童話風の言葉を引用しつつも

現代でも、結構使える言葉だと気が付いて、私一人が楽しげに使わせてもらったのですが

『魔女と王子、つぼにはまりました』というご感想が結構、たくさん届きまして……嬉しかったです(^^)

 

なんとか年明ける前に、今年の『開館記念短め(長期)連載』を終えることが出来ました。

 

改めて……リクエストを下さいました皆様。

そして、読み続けて下さった皆様。

ここまで気長に、お付き合い下さいまして……本当に有り難うございました♪

 

=霧生=